藤本壮介によるワークショップのテーマ、「ネイチャールーム」
写真著作権:designboom
designboomがフランスのDomaine de Boisbuchetから戻った。ポワトゥ・シャラントとリムーザンの間の南西地域にある15世紀の領地で、Boisbuchetは22年前にヴィトラミュージアムの創立者の Alexander von Vegesackが発起人として確立したクリエイティブな実験の場である。過去16年間毎夏4ヶ月にわたって、招聘された国際的に活躍するアーティスト、デザイナー、建築家などが率いるあるテーマをもったワークショップに参加すべく、世界中から有志が集まるのだ。今までWerner Aisslinger、坂茂、Nacho Carbonell、Matali Crasset、Konstantin Grcic、Jaime Hayon、隈研吾、Ingo Mauer、Max Lamb、Joep van Lieshout、Simon Velezなどがワークショップを開いている。
今夏のプログラムは特に建築に焦点が当てられた。藤本壮介率いる10日間のワークショップ、「ネイチャールーム」を体験すべくdesignboomも参加した。彼はチームに様々な活動を通して、自然と建築における新しい関係性についての考察を教示した。
森に吊られたキューブ、ワークショップ期間中造られた中で最もシュールな構造体
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特にこの建築家の事務所にとって適切かつ重要なのは、空間における親密な感覚と同時に解放感に達成することだ。このことは藤本率いるワークショップでも引用された。このワークショップでは若いクリエーターたちを、Domaine全域において抽象的な行程を定義しながら、過去の建築の歴史に焦点をあて明確にしながら未来へと繋がるシンプルな建築システムの構築を指導した。
Boisbucheの敷地内の森に直線的に配置されたフレームのそばの木製構造物は天然トイレ
建築家はひとつの場所で多くのフレームを使うことは好まなかったので、それらの微妙な使い方を提案した。
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チームによるデザインのひとつに大きさが変化するフレームがあった。これらのフレームが設置された場所の環境における特徴的なエレメントを強調するように配置するというもの。この構造物に対してどこに立っているかによって、周囲の景観に存在するあるエレメントの詳細な視界を提供する。
フレーム設定のコンセプチュアルドローイング
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初期の段階における木々の間に並べられた「フレーム」、最終的なインスタレーションはこれからだ。
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フレームインスタレーションのクローズアップ
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フレームを設置する若い参加者たち
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藤本壮介のワークショップ参加者たち
写真提供:Boisbuchet
フレームはBoisbuchetの敷地の至るところに設置され、その戦略的ポジションがに個人の注意を景観の特徴的なエレメントに向ける
写真提供:Boisbuchet
城について
過去何世紀かの間は2棟の建物があったBoisbuchetの敷地に現在建つこの城は、小高い丘の上からヴィエンヌ川を見下ろし、典型的な19世紀の領地の邸宅である。各階が約300平方メートルの大きさの3階建てのこの邸宅は現在修復中である。各エリアはテンポラリーなエキシビションに使用されている。現在はオランダ人アーティストのMaria Blaisseによる展覧会「Moving Meshes」が行なわれている。これは柔軟な竹で作った形態とビデオプロジェクションによるインスタレーション。
日本の田舎家を強調する藤本壮介
写真提供:Boisbuchet
かつて島根県の大きな領家であった伝統的な旅館「Kakuden」はBoisbuchetの大邸宅と同時期の1863年に建てられた。日本古民家研究会から寄贈されたこの建築物は、2008年に旧地で一度解体され、記録の後、修復された。そしてBoisbuchetに運ばれ、日本の職人チームによって忠実に再建された。またこのプロジェクトはBoisbuchetで8年に渡って生徒たちを指導してきたデザイナーの喜多俊之の多大なる後援によって実現した。
上:日本の旅館
下:Boisbuchetのディレクター、Alexander von Vegesackとパビリオン、木泥構造を説明しているところ
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一切釘やねじを使わず組み立てる木泥構造の建物は、2つの大きな居室をL字型廊下が囲んでいる。小さなエキシビションやアジア文化に因んだイベントの会場として最適だ。
パルクールのひとつが日本の古民家の横の竹林の椅子。藤本がロケーションを検討する。
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フレームのみならず開口もまた違った自然の体験を導く。Boisbuchetの森を散策するチーム。
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敷地のいたるところに配置されたドアフレーム
写真提供:Boisbuchet
プログラムにそってチームを引率する藤本壮介
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視覚的に面白い場所を(スコッチで)マーキングすることがプログラムの最初のステップ。
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自然を理解する - 藤本壮介によるガイドツアー
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「音楽の橋」(木板を踏むと異なる音がする)の両端に置かれた2脚の椅子
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ほとんど目に見えないシンプルなフレームを地面に設置
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藤本壮介のワークショップは坂茂による紙のパビリオンにて行なわれた。
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果樹園から見た紙のパビリオン、2001年に坂茂によってBoisbuchetに建設された。
左の写真:Andreas Jung
右の写真:Sergio Mendoza
チームとオープンディスカッションをする藤本壮介
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キッチン、ミーティングルーム、作業場のある宿舎
上の写真:Deidi von Schaven
下の写真著作権:designboom
現場のワークショップにて作業する参加者たち
写真提供:Boisbuchet
茶目っ気のある参加者たち
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ワークショップスペース
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朝食風景
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昼食風景
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