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プリント及び折り曲げ可能な太陽電池

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MITリサーチチームが普通の紙、布、プラスチックなどに機能的太陽電池をプリントする方法を開発した。プリントされた素材で機能を失うことなく紙飛行機さえ折ることができる。(現在のプロジェクトにつながる研究の初期段階であった2010年秋、紙をベースとしたソーラー電池で紙飛行機を折ることに成功。)

大学教授のKaren Gleason氏とVladimir Bulović氏、そして大学院生のMiles Barr氏が率いるMITの研究者チームが普通の紙、布、その他の素材上に、機能を全く損なうことなく折り曲げたり貼り合わせたりすることのできる非常に弾力性のある機能的太陽電池をプリントする方法を開発しました。

今までの太陽電池製品というものは、紙や布、プラスチックなどといった一般的な素材を損傷してしまう液体もしくは高温に対して基板をさらす必要性がありました。その代わりとしてこの新しいシステムは蒸気と120℃以下の温度を利用します。光電池アレイのための適切なパターンを形成するために紙で構成されたマスクを利用して、真空管内で5つの連続層が基板上に置かれます。

紙にプリントされた太陽電池

この方法によって生産される太陽電池は非常に弾力性に富んでいます。MITチームは太陽電池がプリントされたポリエチレンテレフタレートを何千回も折ったり広げたりして、その機能性に特に目立った損傷がないことを実証しています。一方商売目的に生産された太陽電池を同じくポリエチレンテレフタレートにプリントし、何度か折り曲げたら破損しました。チームはプリントされた紙を層状にコーティングし、高温のレーザープリンターに電池を入れる実験を行いましたが、それでも機能は損傷しないことが実証されています。これによって野外もしくは耐候性としての利用の可能性が広がります。正式な寿命に関する研究がまだ終っていませんが、昨年チームが生産した太陽電池はまだ機能している状態です。

左:プリントされたシート、右:プリントされた太陽電池を電圧計につなげたまま、折ったり曲げたりする実験をしているところ

約1%の効率性に達するプリントされた太陽電池による最適化に現在の研究が焦点を合わせていなかったのは、太陽電池製品に使用される標準のガラス製基板に比べ、紙やプラスチックは軽量なためで、Bulović氏は「我々は1キログラム当たりの記録的な高ワット性能の太陽電池を作ることができると思います。」と述べています。マテリアルの驚くほどのローコスト、太陽電池の軽量化による簡単な持ち運びという利点が、発展途上国における利用の範囲を広げるでしょう。

この研究は当大学とイタリアのエネルギー会社の提携によってサポートされています。


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