「風船でできた犬」(赤), 1994-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール
307,3 x 363,2 x 114,3 cm
写真著作権:designboom
Jeff Koons展
スイス(バーゼル)のバイエラー財団美術館にて
2012年9月2日まで開催中
ヒューゴ・ボスとメルセデス・ベンツの支援によるアート・ウィーク・バーゼルの開催と同時に、バイエラー財団美術館では3つの重要な作品シリーズを通してアメリカ人アーティストのJeff Koons氏の過去30年以上に渡る芸術的な発展を記録した広範囲なエキシビションが行なわれている。「The New」ではKoon氏が80年代初頭に始めた既製品のような器具と彫刻シリーズを含む初期の作品が展示されている。1988年に始まった「Banality」にはポップ・カルチャーとバロック時代の芸術作品の間にある皮肉な対立を題材としているにもかかわらず、伝統的な工法による陶器と木を用いた彫刻が含まれる。
そしておそらくKoons氏の現在までの最も意欲的なシリーズは1994年に始まった超現実的で巨大なステンレススチールのオブジェクトと大判の絵画のコレクションからなる「Celebration」で、初めてこれらの作品がバイエラーでのエキシビションのために集められた。
「風船でできた犬」、1994-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
307,3 x 363,2 x 114,3 cm
写真著作権:designboom
「風船でできた犬」1995-98
油絵
259,1 x 363,2 cm
写真著作権:designboom
「Celebration」の全ての作品は、風船で作った動物やぶら下がった飾り付け、粘土やイースターエッグ、そしてバースデーケーキといった幼少時代や家族そして休暇の思い出を題材にしている。また同時にそれらのオブジェクトは超合金クロムスチールでできた壮大な空間いっぱいのスケールをもち、それぞれの無重力な外観と実際の重厚な安定感のコントラストが目を引く。またシリーズの中にはアーティストが実際に制作したオブジェクトをドレープ状の反射薄片の前に置き、それを写真に収め、図式化による加工と拡大によって予め準備した対象を描いた絵画もある。
バイエラー美術館でのエキシビションでは、様々なオブジェクトを同じ題材を描いた絵画の隣に展示することによって、異なる媒体形式の間に興味深い相互対話を表現している。また室内全体もしくは視覚範囲全体を巨大なインスタレーションで埋めることで、観る者が幼少の頃の小ささに再び戻ってしまうような錯覚を生み出す。
「チューリップ」、1995-2004
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
203,2 x 457,2 x 520,7 cm
写真著作権:designboom
「チューリップ」、1995-2004
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
203,2 x 457,2 x 520,7 cm
写真著作権:designboom
「チューリップ」、1995-98
油絵
282,7 x 331,9 cm
写真著作権:designboom
「ねんど」、1995-2007
油絵
333,4 x 282,5 cm
写真著作権:designboom
「月」 (ライトピンク)、1995-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
330,2 x 330,2 x 101,6 cm
写真著作権:designboom
「月」(ディテール)、1995-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
330,2 x 330,2 x 101,6 cm
写真著作権:designboom
「ケーキ」、1995-2007
油絵
318.5 x 295.6 cm
写真著作権:designboom
「風船でできた白鳥」(マジェンタ)、2004-2011
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
350,5 x 302,3 x 238,8 cm
写真著作権:designboom
「風船でできた白鳥」(マジェンタ)、2004-2011
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
350,5 x 302,3 x 238,8 cm
写真著作権:designboom
空間全体を占めるインスタレーションに加え、「Celebration」は子どもの象徴的フィギュアを題材にした小さめのオブジェで構成されている。「 Titi」と 「Elephant」は一瞬メタリックなホイルでできた風船で作られているように見えるが、実際はこれらも重量のあるステンレススチール製であることに騙される。
「Titi」、2004-09
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
96,2 x 60,5 x 37,8 cm
写真著作権:designboom
「Elephant」、2003
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
92,7 x 73,7 x 48,3 cm
写真著作権:designboom
「割れたたまご」(青)、1994-2006
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
198,1 x 157,5 x 157,5 cm / 45,7 x 121,9 x 121,9 cm
写真著作権:designboom
「リボン」、1995-97/2010
油絵
259,1 x 363,2 cm
写真著作権:designboom
「ぶら下げられたハート」(ゴールド/マジェンタ)、1994-2006
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
291 x 280 x 101,5 cm
写真著作権:designboom
「風船でできた花」 (青)、1995-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
340 x 285 x 260 cm
写真著作権:designboom
「風船でできた花」 (青)、1995-2000
透明カラーコーティングを施した高クロムステンレススチール製
340 x 285 x 260 cm
写真著作権:designboom
特にこのコンセプチュアルなベースの代表となるのが「Split-Rocker」で、2000年にフランスのアヴィニヨンにてKoon氏によって発表されたが、今回バイエラーに再び復活した。この作品は子どもの揺り木馬と恐竜の二つのモチーフの組み合わせで、この二つのモチーフの頭を割ってその縁の重なり合わない半分ずつをくっつけたもの。「この子馬と恐竜のコンビネーションをもつ「Split-Rocker」は巨大な子どものおもちゃである「怪物のような」イメージの中に表現される正反対の対立性を具現化します。さらにKoon氏は存続を約束するモニュメントのための素材として何よりも儚い花を選んでいます。想像上の対立性の特別な相互作用においてKoon氏の芸術の真なる緊張感と力は決して小さいものではないのです。」とエキシビションキュレーターのTheodora Vischer氏は言及する。
バイエラーではBernardaudのためにKoon氏がデザインした磁器製のオブジェクトも一緒に展示されており、「Celebration」シリーズで重要視されている同じ媒体の可変性を追求している。
Jeff Koons氏、バイエラー財団のBerower Parkの「Split-Rocker」と共に
写真著作権:Matthias Willi
「Split-Rocker」、2000
ステンレススチール、土壌用ジオテキスタイル、内蔵式潅水システム、顕花植物
1120,1 x 1181,1 x 1082 cm
写真著作権:Andri Pol
Bernardaudのための「Split-Rocker」の花瓶、2012
磁器
36 x 40 x 33 cm
写真著作権:designboom
バイエラー財団美術館にてキュレーターのTheodora Vischer氏がエキシビション「Jeff Koons」を紹介