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Alexandre Farto Aka Vhilsがファサードに彫り描く肖像画

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Vhilsによる「Avero Tex」、2012年5月制作
写真提供:Vhils

VhilsことAka Alexandre Farto氏が彼の継続するシリーズ「scratching The Surface」の中から壁を削って描く新しいグラフィティの作品をdesignboomに紹介してくれた。ポルトガル生まれでロンドンにて活躍するVhilsの作品は、建物など構造体からモデルの顔がまるで浮かび上がっているように平面を削り取って精密な肖像を表現するのが特徴。作品に対して彼曰く「これらの作品の意図は、持続するであろう象徴の図像的作品を制作する、つまり生命の無い壁に人生に対する考えを彫ることです。無機質で灰色の都市景観において、我々の実際の本質が何であるかまた我々は何処から来たのかを示す常軌は容易に失われてしまうので。」

アートと都市性に対する自らの再概念を具体化するために、Vhilsは脱構築の手段を用いて作品を制作する。まず作品の原材料として様々な都市で放棄された壁面にイメージを投影して再利用する。そしてこれらの建物の壁面に人物像を表現するために投影された原型の線にそって手を加えていく。原型を用いた作業が終了すると、今度はハンマーや空気ドリル、鑿やその他の工具を使って削り取っていき、切片の取り除かれた壁に様々な大きさの作品が彫られる。最終的にある特定の都市環境とその地域社会にもたらされたまさに人間的生活の両方のコンビネーションから生まれる作品である。このようにVhilsは現代的かつ縦断的な遺跡発掘現場にて、拡大する都市空間でしばしば見落とされる忘れ去られた顔と人間的側面を表現している。


まるで工業施設の内部から現れたような若い男性の顔


作品のディーテール


製作中の「Avero Tex」


最初に壁面塗ってから削り取っていき、詳細な肖像を表現する

「作品を作る時、固定されたエレメント(ポスターに使用されるステンシル、彫られる壁)を持つようにしています。しかし同時に作品の最終的な形に変化し、影響を与えるような素材の性質など可変的エレメントも大事です。私自身が作品の最終的な形を決定するわけではありません。自分がしていることを完全にコントロールしたこともしたいとも思ったことはありません。予期しない不確かなものに惹かれます。私は決してコントロールできないものを作ることに興味があり、それは私が探求したいこういった儚い性質のものだったり、物質の移ろいやすさや非永遠性なのです。私の作品は常に故意なる変化の中に存在します。人間の試みの全ては、変化に対抗できる制度上の構造体を作り上げることで維持に執着してきました。そして自然は全くその逆で、常に変成と盛衰そして変化を繰り返しています。ただこのような儚い状態を強調することだけに興味があるわけではなく、その気にさせて扇動することが好きなのです。」- Alexandre Farto Aka Vhils氏からのコメント


壁を削って描かれた肖像


「Alfalma」、2012年5月制作

Vhilsによると「作品のシリーズのほとんどは背後に重なる粗い層を表面化させながら、壁面を削り取った単純なコントラストで描く人物の肖像と都市のイメージをもとに成り立っている。」


「Alfalma」のディテール


「Sete Rios」、 2012年制作


「Sete Rios」に関してはこのひげの男をさらに精度良く描くためにVhilsはもっとキャンバス空間を確保する


作品を仕上げるために現場にたたずむアーティスト

「この掘削作業はその過程自体が最終的な成果よりも意味のある表現であり、我々自身の持つ層を省みようとする過程なのです。またこの目的は単に解決策を考え出すのではなく、研究を行い、システムや素材、過程、エレメントと向き合い、軋轢を生み出し、個人を反映しようとする同じ環境から生じる意欲的且つ重大なプロセスやシステムとつき合わせることです。」- Alexandre Farto Aka Vhils

壁画「Mexico All City Canvas」の夜景、2012年5月制作


制作中の「Mexico All City Canvas」


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