岩手県陸前高田に建てられた成瀬猪熊建築設計事務所による「りくカフェ」
全ての写真は成瀬猪熊建築設計事務所の好意により掲載
東京に拠点を置く成瀬猪熊建築設計事務所が、津波の被害を受けた岩手県の陸前高田に建てられた平屋プロジェクト「りくカフェ」の写真をdesignboomに提供してくれました。震災によって地元の市民たちが集まれる場所を失ったこの街に、今も仮設住宅で困難な生活を送っている住民たちの交流の場となるような「街のリビングルーム」としてこのカフェは生まれました。
アプローチ
建設可能な敷地が不足するエリアに建てられたこの仮設カフェは、大学教授や企業そして地元の住民たちからなるチームによって支援され実現しました。シンプルで明確な形態をもつデザインは、納屋のような形を表した伝統的な勾配屋根を採用しています。簡素な木造の外観と直接的なボリュームによってプロジェクトの工期を短縮することができるこのカフェは、同じような必要性がある又は状況下の場所において簡単に建ち上げることが可能です。
外観の様子
側面
開放的で誰でも気軽に立ち寄れるような雰囲気を作るために、ガラス引き戸によってなるべく多くの透明な面を設けています。カフェの社会的機能を伝えるために内部の活動は外に向って反映されます。建築面積は非常に小さいながらも、頭上に剥き出しになった梁と勾配天井からなる構造体によって空間を垂直方向に広く感じるデザインです。
2012年1月にオープンして以来、この地域の女性たちが管理役を分担するこの空間は、カフェとして使用されるだけでなく時には診療所や薬局、バスの停留所や特別なイベントのために機能します。
内部の様子
夜間の様子
建設中の様子
プロジェクト情報:
現地メンバー: 鵜浦敦子、及川恵里子、黄川田尚子、吉田和子(Clatz-Take)、 鵜浦章(鵜浦医院代表)、黄川田信一(森の前薬局代表)、吉田正紀(吉田歯科医院代表)
専門的支援メンバー: 小泉秀樹(東京大学、准教授)、成瀬友梨(東京大学、助教)、猪熊純(首都大学東京、助教)、後藤智香子(UDCK ディレクター)、阿礼めぐみ(成瀬猪熊建築設計事務所)、似内僚一、松田悠暉、大宮透、的場弾(東京大学大学院)、藤井和哉、福島紘子(首都大学東京大学院)、大内裕史、桜井哲志
特別強力: 土屋貞雄(House Vision)
協力企業: sumitomo forestry co., ltd.,住友林業、旭化成建材、越井木材、 ダイキン工業、ダイキンHVACソリューション東北、タナカ、タニタハウジングウェア、吉岡、YKK AP、ワイスワイス、東京ブラインド
※一部敬称略